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【5】変位センサをラインで使用する際の問題点

変位センサは前述の通り高機能・低価格化が進んでいるが、多くの場合その設定には専用のアンプを介し、PLCとの通信にはプログラムの開発が必要という問題があった。

変位センサの選定は主に機械担当者が行い、通信の設計・制御は主に電気担当者が行うことになるため、電気担当者の負担が大きいことが問題であった。

各社が通信サンプルや通信プロトコルをリリースすることでこの負担を軽減する提案を行っているが、この問題を解決するには至っておらず、また通信プログラムの遅れにより変位センサの計測値を一部しか使用できないことも問題であった。

【6】変位センサコントロールユニットとは

この問題を解決するため開発されたのが「変位センサコントロールユニット」である。 変位センサコントロールユニットは外観としてはPLCのユニットであり、PLCのCPUからも拡張ユニット(インテリユニット)として動作する(図6)



図6 PLCに接続する変位センサコントロールユニット

しかし、その機能・性能はむしろ他社の変位センサの専用アンプユニットに近い。

変位センサコントロールユニットは、変位センサと高速に通信を行い、全ての測定データをユニット側に取得する。

これはユニット内部の回路が自動的に行うため、PLC側からのプログラムは一切不要である。

取得した測定データはユニット内部のメモリ(バッファメモリ)に保存されるため、PLC側からは規定のバッファメモリを確認するだけで測定値の取得が完了する。

また、設定変更を行いたい場合でも、規定のメモリに値を書き込むだけでよい。

従来、値の取得、設定値の変更には都度プログラムが必要であり、電気担当には多大な負担であっただけでなく、PLCのプログラム上でもその演算時間によりスキャンタイムに影響が出ることが問題であった。

変位センサコントロールユニットは値の取得を自動で行い、設定値の変更を容易にするだけでなく、その全ての処理をユニット内部で行う。

このためPLC側(PLCのCPU)としては完全にラダーレスで上記動作を完了できる。

【7】変位センサコントロールユニットに必要な機能

変位センサコントロールユニットは変位センサの専用アンプと同等の機能・能力と、それを全てPLCが解釈できる状態に加工する機能が求められる。

そのようなユニットに求められる、いくつかの機能について解説する。

高速サンプリング

変位センサの高速なサンプリング速度(最速100μs)に対応できる能力が必要である。変位センサは現在の測定値を連続して出力するが、コントロールユニットではその測定値を取得するだけでなく、演算し、規定された閾値(しきい値)に対して判定を行い、入出力処理を行う必要がある。

この高速処理を実現するため、設定によってサンプリング速度より処理が遅れる可能性がある場合は、いくつかの処理を切ってでも高速化する「高速モード」といったモードを用意する必要がある。

またどれだけ高速に判定を行っても、PLCはこれほどの高速スキャンを行えない。

このため、入出力に関してはセンサからの入力や、サーボなどへの出力を行うための入出力端子を設ける必要がある。

ストレージ機能

前述の通り高速サンプリングに対してPLCは追従出来ない。しかしテスト動作時のログデータ等、全てのデータを記録する必要がある場合もある。

このため、変位センサコントロールユニットには、ユニット内部にデータを一時的に保存する「ストレージ機能」が必要となる(図7)



図7 変位センサのストレージデータ例

例えばライン上では、ワークの通過中の変位センサの測定データを全て記録すると、断面形状のデータとなる。これをトレーサビリティー用に保存することなどが考えられる。

ストレージの転送中には測定は行えないが、ワークが間欠的に流れる場合は、段取り替え中にデータをPLC側に取り込むことが可能である。

変位センサ独自の機能

変位センサは、おのおのの機種毎に独自機能を持っている。変位センサコントロールユニットではこの全ての機能に対応する必要がある。

このため、変位センサコントロールユニットは、対応する変位センサ毎に専用機になる。

独自の機能としては、レーザのパワーや感度調整など測定に関する物、受光素子上の受光状態を確認する「受光波形モード」の有無などが挙げられる(図8)



図8 変位センサの受光波形データの例

【8】オプテックス・エフエーの変位センサコントロールユニット

オプテックス・エフエーでは三菱電機株式会社のシーケンサ(PLC)、「Melsec-Qシリーズ」向けに変位センサコントロールユニット「UQ1シリーズ」を開発・発売している。 これはMelsec-QシリーズのQバス上に接続できるユニットで、配線・設置を行うだけで変位センサの値をシーケンサから参照できる(図9)(図10)



図9 変位センサコントロールユニット UQ1シリーズ



図10 三菱電機シーケンサへのUQ1シリーズ接続イメージ

UQ1シリーズは高精度変位センサCD5シリーズ用の「UQ1-01」、ローコスト変位センサCD33用の「UQ1-02」の2型式をリリースしている。

これらは変位センサの使い勝手を向上し、電気担当者の立ち上げ工数を削減するだけでなく、アンプユニットを削減することによる盤内のスペース削減や、定価39,800円という低価格によるコスト削減など様々なメリットを提案できるユニットとなっている。

また、変位センサの設定を行う機械担当者向けには、無償のPCソフトウェア「UQ1-Navigator」を提供している。

このソフトを使用すれば、従来の変位センサと同じような感覚で変位センサの設定が行えるため、ストレス無く変位センサの立ち上げが可能となっている。

おわりに

従来は色や材質の影響を受けるとされていたレーザ変位センサは、ここ10年で飛躍的な進歩を遂げ、よりユーザーの期待に応えられる製品へと進化してきた。しかしながらFAの現場は1つ1つ全て条件が異なり、ユーザーごとの改良やカスタマイズが必要な例は数多くある。

我々は今後もユーザーの期待に応えられるよう、スローガンである「高品質、だけど低価格。」を具現化した製品を提供し続けると共に、個々のお客様に、小回りの利くメーカーとして開発を続けていく所存である。


「プラントエンジニア」<日本プラントメンテナンス協会>2012年6月号<Vo.44 No.6>
【現場に活かすセンシング技術】寄稿原稿

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