プロジェクトストーリープロジェクトストーリー

ニーズの一歩先を行く
今までにない製品を創る

〜新たなセンシング機能内蔵LED同軸照明の開発〜

オプテックス・エフエーは、FA業界唯一のセンシング機能内蔵LED同軸照明を2015年に開発・販売。産業製品の検査などに使われるこの製品は、センシング機能によって明るさを数値化することで精度の高い検査が可能となる、次世代のLED同軸照明として大きなインパクトを与えた。しかし当社はそれに満足することなく、より高品質で顧客満足度の高い新製品「OPX-S27」の開発に取り組み、2018年に発売した。そのプロジェクトメンバーが再び集まり、チーム発足から発売までの道のりを振り返る。

MEMBER

  • 開発部

    錦野 雅哉

    プロジェクトでの役割

    プロジェクトリーダー、
    機構・光学設計

  • 開発部

    東 浩義

    プロジェクトでの役割

    電気設計

  • 開発部

    藤田 岳史

    プロジェクトでの役割

    電気設計フォロー

  • 開発部

    杉田 隆

    プロジェクトでの役割

    プロジェクト統括

  • LED営業部

    竹田 純

    プロジェクトでの役割

    営業

はじまりは
営業スタッフからの提案

− 「OPX-S27」の開発プロジェクトが立ち上げられた経緯は?

きっかけは、営業部からの提案でした。当社はさまざまなサイズのセンシング機能内蔵LED同軸照明を販売していたのですが、新たなサイズをラインナップに加えることで、お客様のニーズによりきめ細かく応えられるという意見が挙がったんです。

いろいろなお客様のご要望を伺うなかで、サイズバリエーションを増やす必要があると感じて提案しました。そして営業部と開発部で検討を重ね、27mmサイズのセンシング機能内蔵LED同軸照明が最もニーズが高いという結論が出ました。それまで当社は35mmと18mmサイズを販売していたのですが、実はその中間サイズにも需要があったのです。FA業界全体を見ても、まだどこも27mmサイズを発売していなかったので、勝算ありと確信しました。

単にサイズバリエーションの拡充を図るだけでは、いずれ他社も同じような製品を開発してくるため、高解像度に対応した高い性能を持つ製品を創ることをテーマにして開発に取り掛かりました。当社はFA業界において後発の会社であるため、独自性を打ち出すことが重要です。そのため、今までにない機能や性能を備えた製品の開発を積極的に行っています。「OPX-S27」の開発もそのひとつです。

当初は、お客様の用途や求める性能が幅広いという営業スタッフからの情報を考慮して、高性能・高価格な「ビームスプリッタタイプ」と、スペックは少し落ちるけれどリーズナブルな価格の「ハーフミラータイプ」の、2タイプを創る方向でスタートしました。正直なところ、最初はそんなに難易度は高くないと考えていたんです。まさか、そこから紆余曲折があり、想定していたものを上回る製品を世に送り出せるとは思いませんでした(笑)。

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開発メンバーは、筐体を含め全体的な仕様を設計する機構担当1名と、基板や回路の設計を行う電気担当2名です。意外に少ないと思うかもしれませんが、そこは少数精鋭ということにしておきましょう(笑)。

私が機構設計とプロジェクトリーダーを、藤田さんと東さんは電気設計を担当し、杉田さんにプロジェクトの統括をしていただく体制でした。

このプロジェクトでは人材育成の意味も込めて、電気設計のメイン担当を若手の東さんに任せて、私はフォロー役にまわりました。

プロジェクトがスタートした時、私は入社5年目で、メイン担当は初めての経験でした。自分に務まるだろうかという不安もありましたが、期待感の方が大きかったですね。そして、まずは自分が担当するパートを着実に行うことを心がけました。開発中は、藤田さんをはじめチームのみなさんがサポートしてくださり、心強かったです。

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さまざまな課題を乗り越え、
開発の方向性が定まる

− どのように開発を進めたのか?

まず私が目標とする性能を発揮するために、筐体をどんな形状にし、内部をどのような仕様にするかを考え、設計しました。当初は2タイプとも同じ筐体にする仕様で進めていたのですが、製品化した時のシミュレーションを行った結果、ビームスプリッタのコストが高くなり、営業部から「これでは売れない」と指摘を受けたんです。

性能が上がるのは望ましいのですが、それに伴い価格も上がると、お客様にとってメリットになるとは限らないんです。高い性能を求めていないお客様にとっては、むしろデメリットになってしまう。開発スタッフの努力を無駄にしないためにも、お客様に製品を提案する営業担当として、率直に意見させてもらいました。

「高品質で低価格」が当社のモットーであり、ビジネスとして製品を開発する以上、利益を上げなければなりません。いくら性能的に目標をクリアしていても、このままでは製品化できないので、新たなアプローチに切り替える決断を下しました。

こういったことは開発ではよくあるので、落ち込んだりチームがバラバラになるというような、ドラマチックなエピソードはありません(笑)。ただ「やってやるぞ!」と、ギアは上がりましたね。

予想外の課題や問題が発生するのは開発の常。そういったことをひとつひとつクリアしていくことでより良い製品を生み出すことができ、技術者としても成長できる。当社の社員には、そうした姿勢がしっかり根づいていると思います。

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新たに考えたのは、性能的にビームスプリッタよりも劣るといわれるハーフミラータイプの性能アップ。ハーフミラーにはもっと可能性があるんじゃないかと思ったんです。しかしハーフミラーには、光が多重反射して像が二重になってしまうゴーストが発生する課題があります。ハーフミラーを採用するにしても既存の製品より優れた性能にしなければならないので、新たな工夫が必要でした。

ハーフミラータイプはこれまで35mmが最小サイズだったので、照明の熱対策をどうするのかなど、内部の配置も大きなチャレンジでした。

高解像度の大きな要素となるのが、照明の明るさです。しかし光量を上げると熱も増えるため、放熱に必要なスペースが大きくなってしまいます。この相反するふたつの課題をどう克服するのか。錦野さんが筐体の素材や放熱シートの配置など、さまざまな工夫を凝らして最適なバランスを見つけていく過程を見て、「すごいな」と改めて実感しました。

いろいろ試行錯誤したことでゴーストを従来の5分の1に低減し、ビームスプリッタとほぼ同等の性能を発揮するまでになりました。画期的と言ってもいいくらい大きな前進だったけれど、まだ使用しつづけるとハーフミラーがズレるという問題がありました。そして改善のために新しい固定方法を考えたところ、理論上ではハーフミラーの厚みを薄くできることが分かったんです。薄くすることで製品全体の精度アップにつながる。早速日頃からお付き合いのあるハーフミラーのメーカー様に相談したところ、これまで1mmだった厚さを0.2mmまで薄くすることができました。もちろん業界最薄です。

コスト面もビームスプリッタの約10分の1におさえることができ、ハーフミラータイプ一本にしぼって製品化することにしました。まわり道をしたかもしれませんが、そうしたことによってハーフミラーのポテンシャルを引き出し、「高品質で低価格」な製品を創ることができた。開発に無駄なプロセスはありません。

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成果はゴールではなく
次の目標に向かう通過点

− 「OPX-S27」の反響は?

すごく良いです。開発のエピソードやこだわりを交えて提案すると、お客様もメカに詳しいので共感してくださいます。設備の交換時期が来たら検討すると言ってくださるお客様もいらっしゃいますし、実際に導入してくださったお客様もいらっしゃいます。当社が取り扱っている商品は、発売したからといってすぐに売れるものではなく、じわじわと定着していくのが特徴です。そうしたなかでのこの反応に手応えを感じています。

開発に携わった者にとっては嬉しいことですね。後は営業のみなさんに頑張ってもらって、ヒット商品にしてもらいましょう(笑)。

私ははじめてメインの担当としてプロジェクトをやり遂げて、自信がつきました。これまでは開発の一部分に携わるかたちでしたが、プロジェクトを通じて全体の流れや社員の方々の仕事を知ることができたのは大きな収穫です。

東さんは最初に心がけていた通り、ひとつひとつの業務をしっかりと行っていて頼もしく感じました。この経験は必ずこれからの仕事に活きてくると思います。

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私もハーフミラーがここまでの性能を発揮したことに驚いています。まだまだ学ぶことは多いですね。

当社は開発部門から「こんな製品を販売したらどうか」とアプローチするのも特色なので、おもしろみのある会社だと思います。

そうだね。大手メーカーは部署が細分化されていて、一人ひとりが特定のセクションしか携わることがないケースが多いけれど、当社は幅広く関われることが大きな魅力。たから、情熱を持って積極的に取り組む姿勢のある人に志望してほしいですね。

就職することがゴールではなく、スタートだと捉えると、働いていて充実感を味わえると思います。

そういう意味では「OPX-S27」が製品化されたのもゴールではなく通過点。自分で限界をつくらず、チャレンジできる人と一緒にFA業界の一歩先を目指したいですね。

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